ごはんの摂取量が多いと便秘になりにくいのは何故か。
パンを主食にする人が増えたが、ごはんをたくさん食べている人の方が便秘になりにくい。
結論はパンを主食にしている人より、ごはんを主食にしている人のほうが便秘になりにくいのです。
今回は、そのメカニズムを詳しくご紹介します。
白米の主成分は炭水化物で、お米の約77%がデンプン質です。
デンプンには、アミロースとアミロペクチンという2種類があります。
お米を炊く前の硬い粒の結晶をみてみると、これらのデンプン質が規則正しく整列ています。
これをβデンプンといいます。
このβデンプンのままだと硬くて美味しくないので、水を加えて加熱すると
規則正しく整列したデンプンの結晶の構造に水分が入り込んで
結晶構造が壊れることによってデンプン質はやわらかくなり、食べることができるようになります。
このやわらかくなったデンプン質をαデンプンと呼びます。
なのでお米を食べる時に私たちは、
お米のデンプン質をβデンプンからαデンプンに変えて食べているということになりますね。
しかし、炊き立ての熱いご飯を放置するとどうでしょう?
次第にご飯は冷えていき、硬くなってパサパサしてきます。
これは、αデンプンからβデンプンに戻ったことにより、ご飯が硬くなっています。
αデンプンは糖になり、βデンプンは大腸で栄養となる。
温かいご飯のαデンプンは、唾液や膵液のアミラーゼという酵素によって分解消化され、
糖となって吸収されます。
しかし、硬いβデンプンはこの消化酵素によって分解されにくいため、消化されずに大腸へ運ばれます。
大腸へ到達したβデンプンは、腸内細菌の栄養源となって分解され、
その結果、腸内細菌を増やして排便に必要な便の量が増えます。
つまり、ごはんによる便秘解消の効果は、
特に冷えたご飯に多く含まれるβデンプンが腸内細菌を増やすことによるものなのです。
簡単にいえば、βデンプンはある意味、食物繊維の働きと同じとも言えますね。
なぜパンよりもごはんなのか。
小麦を原料とするパンにもデンプン質は確かに含まれています。
しかし小麦デンプンは、米粉デンプンに比べてαからβに変化するまでの速度が遅く、
結果として、αデンプンからβデンプンへの成形量が少なくなるのです。
なので、パンを主食にした場合、
腸内細菌の栄養源となるβデンプンの摂取量が、ごはんに比べて相対的に少なくなるので
便秘になるリスクが高まるのです。
まとめ
ごはんによる便秘の予防効果は、炊き立ての熱いごはんよりも
冷めた冷ごはんの方がより効果的ということになります。
例えば前回の記事で例に出した昭和30年代の食生活では、
ごはんは朝に一度大量に炊いて、朝は炊き立ての熱いごはん。
昼食と夕食は、「おひつ」にいれていおいた冷やごはんを食べていました。
昭和30年代に便秘が少なかった理由の1つに、この「おひつ」で保管した
冷やごはんを主食にして、さらに野菜類の多いおかずを食べていたこともあるでしょう。
…そうはいっても、昭和30年代とはまるで生活スタイルの違う現代で、
食生活を昔の日本食に戻すなんていうことは難しいですよね。
パンだって気がるに美味しく食べれるし、
「便秘になりたくないならパンを食べるな!」なんていうわけにはいきません。
パンを食べてもいいので、これに不足する細菌の代わり…つまり、
食物繊維をしっかり補ってさえいれば、便秘は避けられます。
食物繊維は毎日、18g〜20gを取りましょう。
…18〜20gってどれだけ野菜を食べないといけないかわかります?
例えば、玉ねぎに含まれる水溶性食物繊維を5gとろうと思ったら、
玉ねぎをまるまる9コ食べる事になります。
…あと13gはどうしましょう。
…となってしまいますので、
野菜ももちろん大切ですが、市販の食物繊維や、
特に便秘解消に効果を発揮するイヌリン食物繊維のような
水溶性食物繊維で不足する栄養を補うこともとっても大切です。
何気なく週間になっている食生活の主食。
女性に多い大腸ガンなどのリスクを考えると、
健康なうちに、しっかり見直すことが大切だと思います。
せめて、自分の主食はどっちなのか。
足りていないものを何か。
どうすれば補えるのか。
この3つをしっかり意識できれば、
自然と食生活も改善されて、より良くなっていきますよ。